カウンターパート
「カウンターパート」とは、相手方や対応する立場にある人物を指す言葉です。 主にビジネス上の取引や交渉、公的機関との手続きにおいて、相手方、窓口を示す際に用いられます。このカウンターパートとのやりとりを進める上で、数年前から顕著になっている現象があります。
日本語が通じない
一定以上規模の団体、企業であれば営業、購買、精算など担当窓口が分かれていて、所定の連絡先にコンタクトすれば、概ね手続きはスムーズに進みます。ただ、これが日本国内のみならず、海外に跨っていたらどうでしょう。しかも相手方に日本語が通じなかったら。
私たちのように通訳や翻訳など、言語系の職種を取り扱う人材業界では、このように営業過程から契約、作業、精算に至るまで、英語で対応する適応性が求められています。クライアントに拠って商談の初期段階から、海外オフィスの Non-Japanese Speaker がカウンターパートというケースも珍しくなくなってきました。どうしてこのような現象が起きているのでしょうか。
10年前にあった予兆
今を遡ること10年ほど前、外資系各社が東京からシンガポールや上海へ極東の拠点を移転し始めました。競うように東京のローカライズ部門を次々と閉鎖し、多くの職員が解雇され会社を去っていったのです。それは何故か?
2010年代に入って、東京がアジアの中核都市から滑り落ちたのは24時間稼働しない国際空港が不便だからとか、インターナショナルスクールが少ないからとか、単純に日本の国力が落ちたからとか、様々な理由が考えられます。予め私見とお断りした上で、私はこう考えます。シンガポールや香港、上海などに比べて圧倒的に見劣りするのは、英語に堪能な人材が少ないからではないでしょうか。現地で優秀な人材を採用したいと考えたときに“英語でビジネスができないから別のところにしよう”ということになっても、何ら疑問の余地はありません。
公用語が日本語である日本国内でのビジネスシーンにおいて、初めから英語で問い合わせをすると取り合ってもらえないケースが多く、目的に合致するパートナー企業を探し当てるには時間的ロスが大きくなります。そのため、ファーストコンタクトはローカルオフィスから、或いは海外オフィスの日本語が堪能なスタッフから問い合わせがあります。双方利害が一致して、さあ具体的な商談となったときに、先ずは基本契約および機密保持契約など、手続きを進めることになります。ここまでは従来と同じですね。
ただ、最近は一連の手続きが日本国内で完了しないことが多いのです。
カウンターパートは全世界に
「契約部門はアイルランドにあります。ダブリンのカウンターパートからあなたに直接連絡させますので、依頼に従って手続きを進めてください。」この時点で英語での対応が出来なければ、折角の新規商談が水泡に帰します。
「次のステップは、バンガロールの購買担当からお見積依頼があります。承認完了次第、発注書をお送りしますので、速やかに注文請書を返送してください。会計はUS本社のカウンターパートが対応します。請求書の送付はこちらのアドレスにメール添付でお願いします。」
中には、「日本支社では一切の採用活動を行わないことになりました。今後、発生する新規求人案件に関するお問い合わせおよび連絡先は北京FEHQの〇〇です。」というように打ち合わせ、人材の紹介、面談のセットアップなど、全て英語で行う企業もあります。
職責毎に担当が異なるのは、ジョブ型の雇用形態を採用している欧米企業では当たり前。片や私たち日本企業はメンバーシップ型、ある程度一人で完結せねばなりません。このように人材業界にはグローバル化の波が押し寄せていて、日本国内での仕事だから日本語だけで事足りたという時代は終焉を迎えつつあります。
まとめ
- カウンターパートは日本人、日本勤務とは限らない。
- 失われた30年は終わらない、アジアにおける日本の立ち位置を考える。
- 英語力の欠如がビジネスの機会喪失を招く。
- SECは次世代を担う英語堪能な人材を探している。
次世代を担う若者世代の皆様、あなたの英語力をSECで活かしてみませんか。英語環境とは、外国人が多数働いているオフィスに限りません。私たちのような日本企業でも、あなたの英語力を存分に発揮していただけるフィールドがあります。